日韓で異なる秋の祝日「秋分の日」と韓国の「チュブン(秋分)」を比較!

Bukchon Hanok Maeul

日本では「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」国民の祝日である「秋分の日」。では、お隣の韓国ではどうでしょうか? 実は韓国には「秋分の日」という祝日はありません。同じ東アジアに位置しながらも、祝日の概念や過ごし方が大きく異なる「秋分」について、今回はその背景と韓国での位置づけを深掘りしてご紹介します。知的好奇心をくすぐる日韓の文化の違いを、旅の視点から紐解いていきましょう。

2025年、2026年、2027年の秋分(チュブン / 추분)

  • 2025年9月23日(火)
  • 2026年9月23日(水)
  • 2027年9月23日(木)

日本では祝日「秋分の日」、韓国では?世界の秋分

「秋分」は祝日ではない韓国

日本では、毎年9月23日頃に「秋分の日」が国民の祝日として制定されています。この日は、太陽が秋分点を通過し、昼と夜の長さがほぼ同じになる日。日本の「秋分の日」は、春分の日と同様に「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」という趣旨を持つ大切な日で、多くの方がお墓参りをしてご先祖様を供養する「お彼岸」の中日でもあります。

一方、お隣の韓国では、「秋分(チュブン / 추분)」は国民の祝日ではありません。韓国では季節の移り変わりを示す二十四節気の一つとして「秋分」という概念はありますが、日本のような特別な行事や祝祭日としての位置づけはほとんどありません。

韓国で秋の代表的な祝日といえば、旧暦8月15日に行われる「秋夕(チュソク / 추석)」です。秋夕は、日本のお盆にあたる大切な日で、先祖供養や家族団らんのために多くの人が故郷に帰り、盛大に祝われます。

このように、同じ「秋の節目」を意味する日でも、それぞれの国で祝日の有無やその意味合いが大きく異なるのは、歴史や文化、宗教観の違いによるものです。

中国や世界の「秋分」はどんな感じ?

東アジアの国々では、日本、韓国と同様に二十四節気の概念がありますが、その中で「秋分」を祝日としている国は稀です。

  • 中国: 中国でも「秋分(qiūfēn)」は二十四節気の一つとして認識されていますが、祝日ではありません。秋分は、豊作を祝う「秋分節」として一部地域で伝統的な風習が残ることもありますが、国民全体が祝う日ではありません。中国における秋の重要な祝日は、秋分に近い時期に訪れる「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」であり、家族で月餅を食べ、月を鑑賞する習慣があります。
  • 世界: 西洋諸国では、「秋分(Autumnal Equinox / Fall Equinox)」は天文学的な現象として認識されますが、日本のように祖先供養と結びついた祝日となることはありません。アイルランドの「ルナサ」や、アメリカの「感謝祭」など、秋の収穫を祝う祭りは各地に存在しますが、その日付や内容は秋分とは直接結びついていないことがほとんどです。

このように、同じ「秋の始まり」を意味する日でも、それぞれの国で祝日の有無やその意味合いが大きく異なるのは、歴史や文化、宗教観の違いによるものと言えますね。

Namsan, Korea

韓国の秋分「チュブン」って、実際どんな日なのか?

韓国における「チュブン(秋分)」は、日本の「秋分の日」のような国民的な祝日ではなく、二十四節気の一つとして、季節の移り変わりを示す暦上の節目に過ぎません。しかし、この日が農耕社会において重要な意味を持っていたことは共通しています。

農耕社会における「秋分」の役割

古くから農耕が盛んだった韓国でも、秋分は「豊かな実りの秋」の到来を意味する重要な時期でした。昼夜の長さが均等になるこの日を境に、夜が長くなり、本格的な秋の気候へと移り変わっていきます。この時期は、稲の収穫が本格化し、農作物が最も豊富に実る季節であるため、農家にとっては収穫の喜びを実感する大切な時期でした。

現代では、農耕社会から工業化社会へと変化したため、秋分に特別な行事を行うことは少なくなりましたが、地域によっては今でも秋の豊作を祝うささやかな行事が残る場合もあります。

Bukhansan

「チュソク(秋夕)」は韓国の秋のビッグイベント!

韓国で「秋の収穫と先祖供養」という意味合いが強いのは、やはり「秋夕(チュソク)」です。秋夕は、旧暦8月15日(新暦では9月中旬から10月上旬頃)に設定され、文字通り「秋の夕べ」という意味を持ちます。

日本のお盆のように、全国的に長期休暇となり、人々は故郷に帰り、家族や親戚が集まってご先祖様のお墓参りをし、新しく収穫された穀物や果物をお供えして感謝を捧げます。松餅(ソンピョン)というお餅を食べるのも秋夕の伝統です。

秋分は太陽の運行に基づく暦上の節目であるのに対し、秋夕は旧暦の伝統に基づく祝日であり、韓国人にとっての秋の最大のイベントと言えるでしょう。

秋の韓国を旅するなら、こんな楽しみ方がおすすめ!

「秋分」に特定の行事がない韓国ですが、秋の韓国は旅行に最適な季節です。過ごしやすい気候と美しい紅葉が魅力的で、様々な楽しみ方ができます。

紅葉スポットを訪れてみよう!

韓国の山々は、秋になると見事な紅葉で彩られます。ソウル近郊であれば、南山(ナムサン)**や**北漢山(プッカンサン)は手軽に紅葉を楽しめるスポット。少し足を延ばせば、内蔵山(ネジャンサン)や雪岳山(ソラクサン)など、韓国を代表する紅葉の名所を訪れるのもおすすめです。鮮やかな赤や黄色に染まった山道を散策すれば、日本の秋とはまた違った感動を味わえます。

Bukhansan Autumn

伝統文化体験や歴史散策も良い選択肢

秋は気候が穏やかなため、韓服(ハンボク)を着て古宮を散策したり、北村韓屋村(プクチョンハノクマウル)のような伝統的な街並みをゆっくりと歩いたりするのに最適です。昌徳宮(チャンドックン)の秘苑や、景福宮(キョンボックン)などは、秋の美しい景色とともに歴史の深さを感じられる場所です。

Bukchon Hanok Maeul

旬の味覚でお腹も心も満たされよう!

「食欲の秋」は韓国でも同じです。この時期は、松茸や栗、柿などの山の幸、そして様々な海鮮が旬を迎えます。特に、秋が旬のコノシロ(チョノ)は「家を出た嫁も帰ってくる」と言われるほど美味で、秋の味覚として人気です。屋台や市場を巡って、旬の韓国料理を味わうのも旅の醍醐味となります。

日本の「秋分の日」が持つ「ご先祖様を偲ぶ」という深い意味合いと、韓国の「チュブン」が暦上の節目であること、そして秋の最大のイベントが「秋夕」であること。これらの違いを知ることで、より深く韓国の文化を理解し、次の旅を計画する際の新たな視点を得られるはずです。今年の秋は、韓国であなただけの特別な体験を見つけてみませんか?

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