日本では「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」国民の祝日として親しまれている「秋分の日」。一方、お隣の韓国には「秋分の日」という祝はなく、秋分(チュブン / 추분)は季節の移り変わりを示す二十四節気の一つとして受け継がれています。同じ東アジアに位置しながらも、秋分に込められた意味や人々との関わり方は大きく異なります。日韓それぞれの文化や歴史をたどりながら、その違いを見ていきましょう。
2026年、2027年、2028年の秋分(チュブン / 추분)の日程
- 2026年9月23日(水)
- 2027年9月23日(木)
- 2028年9月22日(金)
日本では祝日「秋分の日」、韓国では?
日韓で異なる「秋分」の位置づけ
日本では、毎年9月23日頃の「秋分の日」が国民の祝日として定められています。太陽が秋分点を通過し、昼と夜の長さがほぼ等しくなるこの日は、「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日」とされ、お彼岸の中日として墓参りや先祖供養を行う家庭も少なくありません。
一方、韓国の「秋分(チュブン / 추분)」は、二十四節気の一つとして季節の節目を示す暦上の区分です。祝日ではなく休日にもならないため、この日に合わせた全国的な行事や習慣は一般的ではありません。
こうした違いは、秋に祖先を敬う文化が存在しないということではなく、その役割を担う日が異なることにあります。韓国では、先祖供養や家族の団らんは秋分ではなく、旧暦に基づく「秋夕(チュソク)」に受け継がれています。
中国における「秋分」と農耕文化
中国でも「秋分(チュウフェン / qiūfēn)」は二十四節気の一つであり、国民の祝日ではありません。しかし、秋分は古くから収穫の目安となる重要な節目とされ、農耕文化と深く結び付いてきました。
その意味を受け継ぐ形で、中国では2018年から秋分の日を「中国農民豊収節(中国農民収穫祭)」としています。休日ではありませんが、豊かな実りに感謝し、農業の大切さを見つめ直す記念日として位置付けられています。また、この時期に近い旧暦8月15日の「中秋節(ジョンチウジエ / zhōngqiūjié)」は、家族が集まり月餅を囲んで名月を楽しむ秋の代表的な伝統行事です。
韓国における「秋分」の歴史的背景と農耕文化
現在の韓国では秋分を特別な行事として祝うことはほとんどありません。しかし、農耕が暮らしの中心だった時代には、季節の移り変わりを知る重要な目安として人々の生活に深く根付いていました。
農家にとって季節を知る大切な節目
昼夜の長さがほぼ等しくなる秋分は、本格的な収穫期の到来と冬支度の始まりを知らせる節目でもありました。稲刈りや畑仕事が忙しさを増し、柿や唐辛子を干すなど保存食づくりが進む季節でもあります。秋分は祝祭の日ではなくとも、自然の移ろいを読み取りながら暮らしてきた人々にとって、農作業のリズムを整える大切な基準だったのです。
現代では都市化が進み、秋分そのものを意識する機会は少なくなりましたが、二十四節気は季節を表す言葉として生活や文化の中に今も受け継がれています。
韓国の秋を象徴する行事「秋夕(チュソク)」
韓国で収穫への感謝や祖先供養の中心となるのは、秋分ではなく旧暦8月15日に行われる秋夕(チュソク / 추석)です。秋夕は韓国を代表する祝日の一つで、多くの人が故郷へ帰省し、家族や親戚とともに大切な時間を過ごします。
この日には、新米で作る松餅(ソンピョン / 송편)や旬の果物などを供え、茶礼(チャレ / 차례)と呼ばれる祭礼を通して祖先への感謝を捧げます。収穫の喜びを家族で分かち合う秋夕は、日本のお盆と比較されることもありますが、韓国独自の伝統と価値観に支えられた大切な年中行事です。
このように、韓国では季節の節目を示す秋分と、祖先供養や家族団らんを担う秋夕が、それぞれ異なる役割を持ちながら受け継がれています。
秋の韓国文化をより深く知るために
秋分そのものを祝う習慣はありませんが、この季節は韓国の自然や歴史、食文化に触れながら、人々が大切にしてきた暮らしや価値観を感じられる時期でもあります。
歴史ある景観と秋の風景を楽しむ
空気が澄み渡る秋は、南山(ナムサン / 남산)や北漢山(プッカンサン / 북한산)、昌徳宮(チャンドックン / 창덕궁)などで美しい紅葉が見頃を迎えます。歴史ある建造物と色鮮やかな木々が織りなす風景は、韓国の四季の豊かさを実感できる季節ならではの魅力です。
伝統文化に触れながら歩く
過ごしやすい気候の秋は、韓服(ハンボク / 한복)を着て景福宮(キョンボックン / 경복궁)や北村韓屋村(プクチョンハノクマウル / 북촌한옥마을)を散策するのにも適しています。伝統建築や古い街並みに触れることで、朝鮮王朝時代から受け継がれてきた美意識や暮らしの文化を身近に感じられるでしょう。
実りの秋が育む食文化
市場には松茸や栗、柿をはじめ、脂がのったコノシロ(チョノ / 전어)など秋ならではの味覚が並びます。「秋のコノシロは家を出た嫁も戻ってくる」という言い伝えが残るほど、この季節の魚は韓国でも親しまれています。旬の食材を味わえば、実りの季節を大切にしてきた人々の暮らしや食文化にも触れることができます。
日本では秋分が祖先を敬う祝日として親しまれている一方、韓国では季節を示す二十四節気として受け継がれ、祖先供養や家族の絆を深める役割は秋夕が担っています。同じ東アジアでも、歴史や暦、暮らしの中で育まれた文化は少しずつ異なります。その違いを知ることは、韓国という国への理解をより深めるきっかけになるでしょう。






