
2026年7月30日(木)は、タイの重要な仏教行事「カオパンサー(Khao Phansa/入安居)」。前日のアーサーンハブーチャー(三宝節)に続き、僧侶たちが約3か月間の雨季の修行へ入る節目の日です。タイ各地の寺院では、僧侶へ生活用品やろうそくを寄進する人々の姿が見られ、静かな祈りに包まれた一日となります。
雨季に寺院へとどまり修行に励む習慣は、お釈迦様の時代から受け継がれてきた戒律に由来します。農作物を踏み荒らしたり、小さな生き物を傷つけたりすることを避けるため、僧侶は一定期間、寺院で瞑想や学びに専念するよう定められました。
旅行者にとっては派手なお祭りの日ではありません。しかし、タイの人々が仏教とともに暮らしていることを最も身近に感じられる行事のひとつでもあります。
2026年、2027年、2028年のカオパンサー(入安居)の日程
- 2026年7月30日(木)
- 2027年7月20日(火)
- 2028年7月9日(日)
カオパンサー(入安居)は仏教暦(太陰太陽暦)によって定められるため、毎年日付が変わります。アーサーンハブーチャー(三宝節)の翌日に始まり、僧侶たちは約3か月間、寺院で修行を続けます。
カオパンサー(入安居)とは?
カオパンサーは「雨安居(うあんご)」とも呼ばれ、僧侶が雨季の間、ひとつの寺院にとどまって修行を続ける期間の始まりを意味します。パーリ語の「ワッサ(Vassa)」に由来し、東南アジアの上座部仏教で現在も大切に受け継がれている伝統です。
この期間、僧侶は読経や瞑想、経典の学習に励みます。寺院は地域の人々が集う学びと祈りの場となり、家族そろって寺院を訪れ、功徳を積む「タンブン」を行う光景が各地で見られます。
雨季の修行は、単に寺院へこもるだけではありません。僧侶が日々の修行を深めるとともに、地域の人々も寺院へ足を運び、布施や読経を通して仏教への信仰を見つめ直す期間でもあります。タイでは、この3か月を心静かに過ごす大切な季節として受け止められています。

一時出家の季節としても知られる日
カオパンサーは、一時出家を志すタイの男性が寺院へ入る時期としても知られています。数週間から3か月ほど僧侶として生活し、仏教を学びながら心を整えることは、親への感謝を表す行いとして今も大切にされています。
近年では以前ほど長期間の出家は減ったものの、学生や社会人が休暇を利用して短期間出家する例も少なくありません。慌ただしい日常から離れ、自分自身と向き合う時間として、一時出家は現代のタイ社会にも受け継がれています。
タンブンとロウソク寄進に込められた願い
カオパンサーの日、多くのタイの人々は寺院を訪れ、「タンブン(功徳を積む行為)」を行います。タンブンとは、善い行いを積み重ねることで、自分や家族の幸せを願い、仏教への感謝を表す大切な習慣です。僧侶が雨季の修行へ入る節目でもあることから、この日は一年の中でも特に多くの人々が寺院へ足を運びます。
- タクバート(托鉢への布施)
早朝、僧侶へ食事を供え、一日の修行を支えます。 - お布施
寺院の維持や僧侶の生活を支えるため、金銭や供物を寄進します。 - サンカターン(日用品の寄進)
石けんや洗剤、歯ブラシ、飲み物、ろうそくなどを詰め合わせた寄進用セットを僧侶へ贈ります。寺院やスーパーでは、黄色いバケツに入った「サンカターン」が数多く販売され、この時期ならではの風景となっています。 - ろうそくの寄進
修行中の読経や経典の学習、瞑想に欠かせない灯りとして、現在もカオパンサーを象徴する供物の一つとなっています。
電気が普及する以前、ろうそくは夜の読経や経典の学習を支える大切な灯りでした。そのため、修行期間の始まりにろうそくを寄進することは、僧侶の学びを支える功徳として受け継がれています。こうしたタンブンは、僧侶の修行を支えるだけでなく、自分や家族の幸せを願う祈りの時間でもあります。

ロウソク寄進から生まれたキャンドルフェスティバル
僧侶へろうそくを寄進する習慣は、タイ東北部(イサーン地方)を中心に独自の発展を遂げました。現在ではウボンラーチャターニー県をはじめ各地で、精巧な彫刻が施された巨大なろうそく山車が街を巡る「キャンドルフェスティバル」が開催され、多くの人々を魅了しています。
祭りを彩る巨大なろうそくは、職人たちが何か月もかけて制作する芸術作品です。その華やかさが注目されますが、もともとは僧侶が修行中に使う灯りを寄進するという信仰心から生まれた文化であることを忘れてはいけません。
ウボンラーチャターニーで開催されるキャンドルフェスティバルについては、「ウボンラーチャターニー・キャンドルフェスティバル」の記事で詳しく紹介しています。
旅行前に知っておきたいポイント
カオパンサーはタイ仏教にとって一年の中でも大切な節目となる日です。主に官公庁や一部の金融機関は休日となりますが、多くの民間企業や商業施設は通常どおり営業しています。
一方で、前日のアーサーンハブーチャー(三宝節)に続き、この日も全国で酒類販売が禁止されます。コンビニエンスストアやスーパーマーケットだけでなく、多くのレストランやバーでもアルコールの提供が停止されるため、旅行中は事前に予定を確認しておくと安心です。
寺院では朝から多くの参拝者が僧侶へ供物を捧げ、功徳を積む「タンブン」が行われます。比較的落ち着いて参拝したい場合は午前中の早い時間帯がおすすめです。肩や膝が隠れる服装を心掛けるとともに、蒸し暑い雨季に備えて通気性の良い服装や水分補給など、暑さ対策も意識すると快適に過ごせます。
写真撮影が可能な寺院でも、読経中は静かに見学し、フラッシュ撮影や参拝者の進路を妨げる行為は控えるなど、信仰の場への配慮が必要です。カオパンサーは観光イベントではなく、人々が静かに祈りを捧げる大切な仏教行事であることを心に留めて見学したいところです。

カオパンサー(入安居)の概要
- 名称
- カオパンサー(入安居) / Khao Phansa Day / วันเข้าพรรษา
- 開催地
- タイ全土
- 主な行事
- タンブン(功徳を積む行為)、ろうそく寄進、一時出家、読経
- 特徴
- 僧侶が約3か月間の雨季の修行(雨安居)に入る節目の日。
- 注意点
- 酒類販売禁止日。寺院では露出を控えた服装を心掛け、参拝者や読経の妨げにならないよう静かに見学しましょう。
- 参考サイト
- タイ国政府観光庁(TAT)


