タイの三宝節(アサラハブチャー)で仏教の教えに触れる旅

Wat Phra Kaew

タイでは、陰暦の8月の満月の日が「アサラハブチャー」として祝われます。これは、お釈迦様が悟りを開いた後、初めて5人の弟子に説法を行い、仏教の「仏(ブッダ)・法(ダルマ)・僧(サンガ)」の三宝がすべて揃ったことを祝う、非常に重要な日です。この日、タイ全土の寺院では、早朝から読経が行われ、人々はお供え物を持って参拝に訪れます。

2025年、2026年、2027年のアサラハブチャー

アサラハブチャーは陰暦に基づいているため、毎年日付が変わります。

  • 2025年:7月10日(木)
  • 2026年:7月29日(水)
  • 2027年:7月19日(月)

タイの正式な祝日であり、禁酒日

アサラハブチャーはタイの正式な祝日であり、この日は全国的にアルコール類の販売が終日禁止されます。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでお酒を購入することはできません。バーやカラオケ店などのナイトスポットも休業したり、お酒の提供を中止したりすることが多いため、旅行を計画する際は注意が必要です。

ただし、自宅で買い置きしたお酒を飲むことは問題ありません。翌日は「カオパンサー(入安居)」という祝日となり、2連休になることが多く、アルコール販売禁止も2日間続くことになります。

レストラン・食堂の営業について

アサラハブチャーは「禁酒日」ではありますが、レストランや食堂の営業自体は通常通り行われることがほとんどです。

  • レストラン(ファインダイニング、ホテル内のレストランなど): 通常通り営業しているお店が多いですが、アルコール提供は終日停止されます。お酒を提供しないランチやディナーは問題なく楽しめます。予約時に禁酒日であることを念頭に置いておくと良いでしょう。
  • 庶民的な食堂、屋台、フードコート: これらも通常通り営業しています。地元のタイ人も食事をするため、基本的に営業に影響はありません。ただし、通常お酒を出す屋台や食堂でも、この日はアルコールの販売は行いません。
  • 注意点: 一部の小規模な店舗や家族経営の店舗では、祝日のため休業する場合も稀にありますが、観光客が多く訪れるエリアのほとんどの飲食店は営業しているはずです。

この日は、アルコールが飲めないことを除けば、普段と変わらずタイ料理を楽しむことができます。

アサラハブチャーの過ごし方:ウィアンティアンに参加しよう

アサラハブチャーの日は、タイの人々にとって寺院を訪れ、功徳を積む大切な日です。特に夕方には、ロウソクと花を持って本堂の周りを3周する「ウィアンティアン」という儀式が行われます。これは、仏・法・僧の三宝に敬意を表すもので、幻想的な雰囲気の中で行われるこの儀式は、観光客にとっても貴重な文化体験となるでしょう。

ウィアンティアンの回り方

ウィアンティアンは、本堂(礼拝堂)の周りを右回り(時計回り)に3周します。この「右回り」は仏教の伝統的な敬意の表し方とされており、右肩を本堂に向けて歩くことで、仏様への感謝と尊敬を示します。

  • 1周目:仏陀(ブッダ)に捧げる
  • 2周目:ダルマ(法、教え)に捧げる
  • 3周目:サンガ(僧侶集団)に捧げる

各周回は、仏教の三宝への敬意と感謝の念を込めて行われます。参加者はロウソクの明かりと花の香りに包まれ、静かに瞑想しながら歩を進めます。

アサラハブチャーの参拝に人気のバンコクの寺院

アサラハブチャーの日は、タイ全土の寺院で多くの参拝者が訪れますが、バンコク市内でも特にタイ人からの信仰が厚く、この日に賑わう寺院がいくつかあります。観光客も参拝の様子を見学したり、ウィアンティアンに参加したりすることが可能です。

ワット・プラケオ(エメラルド寺院)

Wat Phra Kaew

タイで最も格式の高い寺院で、王宮敷地内にあります。タイのシンボルであるエメラルド仏が安置されており、連日多くの観光客で賑わいますが、アサラハブチャーの日は特に、熱心なタイ人仏教徒が多数訪れます。儀式は厳粛に行われ、その雰囲気に圧倒されるでしょう。

  • アクセス:
    • 電車・タクシー・船の組み合わせ: BTSサパーンタクシン駅で下車し、チャオプラヤー・エクスプレスボートに乗り換え、ター・チャーン船着き場(Tha Chang Pier)で下船。船着き場から徒歩約5分。
      • チャオプラヤー・エクスプレスボート:
        • 料金: 15バーツ~30バーツ程度(船の種類による)。
        • 支払い方法: 乗船時に船員に直接支払うか、切符売り場で購入。現金のみの場合が多い。
        • 所要時間: サパーンタクシン駅からター・チャーンまで約15~20分。
        • 公式サイト: Chao Phraya Express Boat
    • タクシー: 市内各所から直接向かうことができます。交通状況による。

ワット・ポー(涅槃寺)

Wat Pho

全長46mにも及ぶ巨大な涅槃仏が有名な寺院です。タイ古式マッサージの総本山としても知られ、普段から多くの人が訪れますが、アサラハブチャーの日は、涅槃仏への信仰を深めるために多くのタイ人が参拝に訪れます。広大な敷地内には多くの仏塔や仏像があり、見どころ満載です。

  • アクセス:
    • ワット・プラケオから徒歩すぐ。
    • 電車・タクシー・船の組み合わせ: BTSサパーンタクシン駅で下車し、チャオプラヤー・エクスプレスボートに乗り換え、ター・ティアン船着き場(Tha Tien Pier)で下船。船着き場から徒歩約5分。

ワット・アルン(暁の寺)

Wat Arun

チャオプラヤー川沿いにそびえ立つ、美しいクメール様式の仏塔(プラーン)が特徴的な寺院です。特に夕暮れ時のライトアップは幻想的で人気ですが、アサラハブチャーの日には、静かに祈りを捧げるタイ人の姿が多く見られます。対岸から寺院を眺めるのもおすすめです。

  • アクセス:
    • 電車・タクシー・船の組み合わせ: BTSサパーンタクシン駅で下車し、チャオプラヤー・エクスプレスボートに乗り換え、ター・ティアン船着き場(Tha Tien Pier)で下船。そこから渡し船(フェリー)でワット・アルンへ渡る。
      • 渡し船(フェリー):
        • 料金: 片道4バーツ。
        • 支払い方法: 乗船時に直接支払う。現金のみ。
        • 所要時間: 約3分。

ワット・サケット(黄金の丘)

Wat Saket

バンコク市街を見下ろす丘の上に建つ寺院で、「黄金の丘」という別名で親しまれています。約300段の階段を上ると、仏舎利が納められた黄金のチェディ(仏塔)と、バンコク市街のパノラマビューが広がります。アサラハブチャーの日には、多くの巡礼者が階段を上り、功徳を積みます。

  • アクセス:
    • タクシーまたはバス: 市内中心部からタクシーが便利。バスも利用可能だが、路線が複雑なため注意が必要。
    • 最寄りの運河ボート停留所: パンファー・リーラート(Phanfa Leelard)から徒歩すぐ。

これらの寺院は、アサラハブチャーの日にタイの仏教文化に深く触れることができる貴重な場所です。参拝者の邪魔にならないよう、マナーを守って見学しましょう。

バンコク、ワット・プラケオの詳細地図

【コラム】タイのアルコール販売規制の最新情報(2025年6月27日以降)

2025年6月27日より、タイにおけるアルコール販売規制に関する新たなルールが施行されました。これは、タイ政府が観光客誘致と経済活性化を目的とし、アルコール飲料の販売をより柔軟にすることを決定したためです。

主な変更点と現在のルール:

  • 販売時間帯の緩和: これまで、アルコール飲料の販売が許可されていた時間帯は「午前11時から午後2時まで」と「午後5時から深夜0時まで」の2つの時間帯に限られていました。 しかし、今回の改正により、午前11時から午後5時までの間も、レストランやホテルなどの飲食店でのアルコール販売が許可されるようになりました。これにより、ランチタイムなども含め、より長い時間アルコールを楽しむことができるようになります。
  • コンビニエンスストア・スーパーマーケットでの販売時間: コンビニエンスストアやスーパーマーケットでのアルコール販売時間については、これまで通り午前11時〜午後2時と午後5時〜深夜0時までの規制が維持されます。これらの店舗でアルコールを購入する際は、引き続きこの時間帯に注意が必要です。
  • 宗教上の祝日の禁酒日: アサラハブチャーやマカブチャーなどの仏教の重要な祝日は、これまでと変わらず終日アルコール販売が禁止されます。今回の規制緩和は、あくまで通常日の販売時間帯に関するものであり、宗教的な禁酒日には適用されません。旅行者はこの点に特に注意し、禁酒日のアルコール購入・飲酒は控える必要があります。
  • 特定のエリアでの規制緩和: 今後、観光客が多く訪れる一部の「観光促進エリア」においては、さらに特定の時間帯延長や規制緩和が検討される可能性があります。しかし、現時点では全国的なルールとして上記の変更が適用されています。

この変更は、タイを訪れる旅行者にとって利便性が向上する一方で、アサラハブチャーのような宗教上の祝日は引き続きアルコール販売が禁止されることを理解しておくことが重要です。タイの文化と規則を尊重し、快適な旅行を楽しんでください。

アサラハブチャーの概要

名前(英語表記と日本語表記)
アサラハブチャー / Asalaha Bucha Day
入場
無料(寺院への寄付は任意)
サイト
タイ国政府観光庁
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