2025年10月6日(月)台湾の中秋節:国民的BBQで祝う、熱気と団欒のお月見体験!

台北の象山からの夜景

秋風が心地よくなる頃、台湾の街は特別な熱気に包まれます。旧暦8月15日は、中華圏で最も大切な祝日の一つ「中秋節(Zhōngqiū Jié)」。一年で最も美しく輝く満月が夜空に浮かび、各地で心温まる光景が広がります。この特別な夜は、単に静かに月を眺めるだけではありません。街のあちこちから香ばしい煙が立ち上り、家族や友人たちの楽しげな声が響きわたります。そう、台湾の中秋節の主役は、なんと国民的イベントとなったバーベキューなのです。

中秋節の伝統的な風習から、台湾ならではのバーベキュー文化、そしてこの時期の台湾旅行をより深く楽しむためのヒントをご紹介します。五感で感じる台湾の温かい文化と人情に触れてみませんか?

2025年、2026年、2027年の中秋節の日程

  • 2025年10月6日(月)
  • 2026年9月25日(金)
  • 2027年9月15日(水)

中秋節のルーツ:月を崇拝する古来の習わし

中秋節は、旧暦の8月15日、一年で最も月が美しく、豊かさの象徴として輝く時期に祝われる大切な伝統行事です。その起源は古く、古代中国で月を崇拝し、豊かな収穫に感謝する習わしに由来すると言われています。家族や親しい人々が一堂に会し、共に月を愛でることで、「家族団欒」と幸福を願う意味合いが込められています。

この「月を愛で、収穫を感謝する文化」は、海を越えて日本にも伝わりました。日本で親しまれている十五夜も、中秋節と同じルーツを持つ大切な行事です。しかし、その過ごし方には面白い違いがあります。日本ではススキを飾り、月見団子を供えて静かに月を愛でますが、台湾をはじめとする中華圏では、家族や親しい人々と**月餅**(ユエビン)を分け合って食べることが定番。同じ満月を眺める文化でも、それぞれの地域で独自の発展を遂げてきた背景を知ることで、旅がもっと面白くなるはずです。

台湾の中秋節にバーベキューが定着した理由

中秋節が近づくと、台湾のスーパーやコンビニエンスストアでは、BBQ用品が山積みにされます。公園、家の庭、アパートのベランダ、時には道路脇まで、人々がBBQを楽しむ光景は、もはや台湾の中秋節の「風物詩」です。なぜ台湾だけが、ここまで中秋節にBBQをするようになったのでしょうか?その起源には諸説ありますが、最も有力なのは、1980年代後半に台湾の醤油メーカーが中秋節の時期に「烤肉(BBQ)」と醤油を関連付けたCMを大々的に放映したことがきっかけという説です。

このCMが大ヒットし、その後、他の食品メーカーも連鎖的にBBQ用品のプロモーションを強化した結果、瞬く間に「中秋節=BBQ」という文化が定着したと言われています。このバーベキューは、家族や親戚だけでなく、友人や同僚なども気軽に誘い合って楽しむ国民的イベントです。月を眺めながらみんなで肉や海鮮を焼き、ビールを酌み交わす。これぞ台湾流の「団欒」の形なのです。

台湾の中秋節で味わう定番グルメとユニークな習慣

台湾の中秋節に欠かせないグルメの主役は、月餅(ユエビン)です。様々なフレーバーがありますが、特に台湾で人気なのは、塩漬けした卵の黄身が入った「蛋黄酥(ダンファンスー)」や、餡に豚肉のそぼろなどを入れた「肉鬆月餅(ロウスンユエビン)」など。老舗からモダンな創作月餅まで、その種類は実に豊富で、大切な人への贈り物としても人気があります。

中秋節の月餅と文旦

ユニークな習慣!「文旦」を味わう

そして、台湾の中秋節に特有のフルーツが「文旦(ウェンダン)」です。日本のザボンに似た柑橘類で、爽やかな香りと甘酸っぱい果肉が特徴。食べ終わった後の文旦の皮を子どもの頭にかぶせるというユニークな習慣があり、これは文旦の丸い形を月に見立て、「縁起が良い」「賢くなる」といった願いが込められています。子供たちが文旦の皮を被って走り回る姿は、中秋節ならではの可愛らしい光景です。

中秋節の時期、台湾の街角にある果物屋台

旅情を喚起する!中秋節の観光ヒント

中秋節限定イベントと夜市グルメ

9月下旬~10月上旬(年によって変動)に台湾を訪れるなら、中秋節の熱気を感じるチャンスです。この時期ならではの体験で、より深く台湾文化に触れてみましょう。

  • BBQ体験:BBQを提供するレストランを利用したり、スーパーや市場でBBQ用品が並ぶ活気ある雰囲気を楽しんでみましょう。台湾の「今」を感じる貴重な体験になります。
  • 月餅を味わう:デパートやベーカリーでは、中秋節限定の月餅が豊富に並びます。特に老舗の「台北犁記」や「佳徳糕餅」は観光客にも人気が高いので、お土産探しにも最適です。
  • ランタンイベント:台北では動物園でのランタン・ディスプレイ、高雄では愛河沿いのイルミネーションなど、中秋節に合わせた小規模なランタンイベントが開催されることがあります。
  • フォトジェニックな夜景スポット:台北の象山(エレファントマウンテン)や、高雄の「愛河」、台中の「秋紅谷景観生態公園」などは、美しい月と夜景を同時に楽しめる絶好のスポットです。

台湾主要都市別!中秋節の過ごし方ガイド

台湾の各都市で、中秋節の過ごし方は少しずつ異なります。旅の目的に合わせて、滞在する都市を選ぶのもおすすめです。

台北:都会の夜景とランタンイベントを楽しむ

台北は街全体が活気に満ち、特に夜市(士林夜市など)では中秋節限定のグルメやイベントが楽しめることがあります。高層ビルの夜景と共に月見を楽しめるスポットも豊富です。

台湾の伝統的なランタン

台中:公園でゆったりと月見バーベキュー

都会のオアシスとして知られる「秋紅谷景観生態公園」など、美しい公園が多く、家族連れでゆったりと月見を楽しむのに最適です。

高雄:南国の夜風を感じるロマンチックな月見

温暖な気候の南国・高雄では、愛河沿いの散策や、リラックスした雰囲気でBBQを楽しむ人々が多く見られます。夜景も美しく、ロマンチックな時間を過ごせます。

高雄の愛河沿いの夜景

中秋節の開催日程と旅行Q&A

中秋節は台湾の祝日(公休日)です。旅行の計画を立てる際は、以下の点も参考にしてください。

  • Q. 中秋節の時期は混雑しますか?
    A. 国民の祝日なので、高速道路や観光地は混雑することが予想されます。特に地方への移動は公共交通機関の混雑に注意が必要です。
  • Q. 交通規制はありますか?
    A. 市街地の一部で交通規制が敷かれる場合があります。特に大きなイベント会場や夜市の周辺は、事前に交通情報を確認することをおすすめします。
  • Q. 雨が降ったらどうなりますか?
    A. 多くのBBQは屋外で行われるため、雨天の場合は中止や延期になることがほとんどです。イベントも屋内で開催されるものや、中止になるものがあります。
  • Q. 観光客でもBBQに参加できますか?
    A. 中秋節のBBQは、基本的に家族や友人などで行われる私的な集まりです。観光客が飛び入りで参加するのは難しいですが、この時期限定でBBQメニューを提供するレストランなどもあります。
  • Q. 文旦はどこで買えますか?
    A. 中秋節の時期になると、スーパーマーケットや市場、街中のフルーツスタンドなど、さまざまな場所で販売されます。現地のスーパーに立ち寄ってみるのも良いでしょう。

台湾の中秋節は、月を愛でる伝統的な趣と、国民的BBQが織りなす現代的な賑やかさが融合した、非常にユニークな祝日です。この特別な季節に台湾を訪れることで、台湾の人々の日常に深く根付いた「団欒」の精神と、温かい人情を肌で感じられるでしょう。この季節だけの台湾体験を、ぜひ見逃さないでください。

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