
2025年8月12日(火)は、タイでシリキット王太后(H.M. Queen Sirikit’s Birthday / สมเด็จพระนางเจ้าสิริกิติ์ พระบรมราชินีนาถ พระบรมราชชนนีพันปีหลวง)の誕生日です。この日は王太后の誕生日であると同時に、「タイの母の日」としても広く国民に認識されています。この祝日は、タイの王室に対する敬意と、家族、特に母親を大切にするタイの文化が色濃く反映された日です。
毎年8月12日、タイの街は王太后のシンボルカラーである水色に彩られ、国民は母親への感謝を表すさまざまな行事を執り行います。この祝日が持つ意味合いや、タイの人々がどのように一日を過ごすのか、そして旅のヒントまでを詳しくご紹介します。8月のタイ旅行がより豊かなものになれば幸いです。
2025年、2026年、2027年のシリキット王太后誕生日の日程
- 2025年8月12日(火)
- 2026年8月12日(水)
- 2027年8月12日(木)
シリキット王太后について
シリキット王太后は、22025年8月12日(火)に93歳を迎えられます。国民から絶大な敬愛を集めた前国王ラーマ9世(プミポン国王)の王妃であり、現国王ラーマ10世(ワチラーロンコーン国王)の母君にあたります。
長きにわたりタイの発展と福祉に尽力され、特に農村部の生活改善や伝統工芸の振興に深く関わってこられました。例えば、彼女が設立を主導したDISC(The Foundation for the Promotion of Supplementary Occupations and Related Techniques of Her Majesty Queen Sirikit of Thailand)は、地方の伝統工芸(タイシルク、竹細工、装飾品など)の保存と発展に大きく貢献しています。その慈愛に満ちたお姿と国民への深い愛情から、「国母」として広く慕われており、彼女の誕生日が「母の日」とされたのは、その「母性」と「国民への慈しみ」が、タイにおける母親の象徴と重なるためです。

街を彩る「水色」の背景と意味
この日、タイの街を彩る主な色は水色です。これは、シリキット王太后がお生まれになった「金曜日」の色に由来します。タイには曜日ごとに定められた色があり、その慣習に基づき水色が王太后のシンボルカラーとされています。国民は王太后への敬意を表して水色の服を着用し、街には水色の旗やバナーが飾られます。
特に、バンコクの中心部、王宮周辺やラチャダムヌン通り(Ratchadamnoen Avenue)は、水色の旗やイルミネーションで美しく装飾され、夜には幻想的な雰囲気に包まれます。普段の活気あるバンコクとは異なる、荘厳で神秘的な光景は、タイの人々の王室への深い敬意と感謝の念が、光と色彩で表現されたものです。
タイの人々が「母の日」にすること
シリキット王太后誕生日が「タイの母の日」であるため、タイ国民はそれぞれに母親への感謝を表すさまざまな行事を執り行います。
母親へジャスミンを贈る習慣
この日のシンボルフラワーは、純粋な愛を象徴する白いジャスミンです。その清らかな白さと長く続く芳香から、「途切れることのない純粋な母親の愛情」を象徴するとされ、タイの「母の日」にふさわしい花として選ばれています。

多くのタイ国民は、感謝の気持ちを込めて母親にジャスミンの花や、ジャスミンを編み込んだ美しい「プアンマーライ」(花飾り)を贈ります。これは、日本の“母の日”にカーネーションを贈る習慣と似た文化的役割を担っています。街中の花屋や市場では、香しいジャスミンが豊富に並び、特にバンコク最大の生花市場であるフローラルマーケット(Pak Khlong Talat / パーククロン市場)では、熟練の職人たちが一つ一つ丁寧にプアンマーライを編み上げる光景を見ることができます。

家族で食事を囲む一日
母の日は家族が集まる大切な日でもあります。多くのタイ国民は、この日、実家に帰省したり、家族揃ってレストランで食事をしたりして、母親を囲んで過ごします。デパートやショッピングモール、レストランなどでは、母の日を祝う特別プロモーションやイベントが開催され、賑わいを見せます。例えば、高級ホテルレストランが母の日限定のブランチを提供したり、ショッピングモールでジャスミンに関連したチャリティイベントが開催されることがあります。
寺院での功徳積み(タンブン)
仏教国であるタイでは、功徳を積む「タンブン」は日常生活に深く根付いています。母の日も例外ではなく、多くの人々が寺院を訪れ、王太后と母親の健康や長寿を願って寄付をしたり、お祈りを捧げたりします。寺院では、特別な読経や儀式が行われることもあり、水色の服をまとった参拝者で賑わいます。

旅のヒント&アイデア
シリキット王太后誕生日は、タイの文化が色濃く表れる特別な一日です。8月のタイ旅行を計画している方は、以下の点を考慮することで、より深く文化を体験し、記憶に残る旅にすることができます。
シリキット王太后誕生日には、タイの王室への敬意、家族への深い愛情、そして仏教の精神性が一体となった、タイ文化の核心に触れることができます。
- 水色の服装: 王太后のシンボルカラーである水色の服を着用すると、より現地の雰囲気に溶け込めます。多くのタイ国民が水色の服を着て外出します。
- 街の散策: 王宮周辺やラチャダムヌン通りなど、水色に飾られたエリアを夜に散策するのは特に魅力的です。ライトアップされた景色はフォトジェニックで、SNS映えする写真が期待できます。
- 交通状況: 祝日のため、一部の道路では交通規制が行われたり、公共交通機関が混雑したりする可能性があります。時間に余裕を持った行動を心がけましょう。
- 現地の情報を確認: 直前に、現地の観光案内所やホテルのスタッフに、最新のイベント情報を確認することをおすすめします。